明星大学心理学年報 第30号

明星大学心理学年報 第30号 page 23/58

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今井:生徒中心型指導がピアノ教師の教えがいに及ぼす影響19Table1“ピアノ指導の難しさ”各項目の因子負荷量(N=126)結果項目ⅠⅡ共通性ピアノ教師の教材の選び方.871.041.760ピアノ教師の指導方法.869.247.816ピ....

今井:生徒中心型指導がピアノ教師の教えがいに及ぼす影響19Table1“ピアノ指導の難しさ”各項目の因子負荷量(N=126)結果項目ⅠⅡ共通性ピアノ教師の教材の選び方.871.041.760ピアノ教師の指導方法.869.247.816ピアノ教師の保護者との関わり方.561.317.416生徒が集中しない.176.872.791生徒が練習しない.109.866.787固有値2.5401.030寄与率(%)37.909 33.476累積寄与率(%)37.909 71.385第1因子は.721,第2因子は.756で十分な内部一貫性が示されたため,因子ごとに,項目の得点を加算し,項目数で除した平均得点を因子得点として以下の分析に用いた(ピアノ教師の教授法の悩み:M=3.20,SD=.96;生徒の学習意欲の低さ:M=3.27,SD=.93)パス解析仮説1を検討するために,“ピアノ教師の教えがい”を従属変数,“生徒中心型指導”を独立変数,“ピアノ教師の教授法の悩み”,“生徒の学習意欲の低さ”を媒介変数,“ピアノ教師の年齢”を統制変数としたモデルを構築し,パス解析によって検討した。分散分析仮説2を検討するために,“ピアノ教師の教えがい”を従属変数,“生徒中心型指導”,“生徒の学習意欲の低さ”を独立変数とする2要因の分散分析を行った。なお,分析に先立ち,“生徒中心型指導”については5点を“強”,1点~4点を“弱”という2群に分け,“生徒の学習意欲の低さ”については,3点未満を“低”,3点以上4点未満を“中”,4点以上を“高”という3群に分けた。ピアノ教師の特徴ピアノ教師は,女性が96.9%(男性3.1%)であり,年齢は,20歳代18.3%,30歳代22.2%,40歳代27.0%,50歳代32.5%であった。専門教育を受けた教育機関は,音楽大学86.3%,教員養成大学4.6%,一般大学5.3%,その他3.8%であり,そこでの主専攻は,ピアノ66.4%,声楽9.2%,音楽教育18.3%,その他5.3%,無回答0.8%であった。“ピアノ教師の教えがい”に対するパス解析仮説1を検討するために,“ピアノ教師の教えがい”を従属変数,“生徒中心型指導”を独立変数,“教師の教授法の悩み”と“生徒の学習意欲の低さ”を媒介変数,“ピアノ教師の年齢”を統制変数としたモデルを構築し,パス解析によって検討した(Appendix II, Figure1)。なお,図では,10%以上で有意な傾向がみられたパスのみを示している。その結果,“生徒中心型指導”は,ピアノ教師の教えがいに直接正の影響を及ぼす(β=.307, p<.01)と同時に,“生徒の学習意欲の低さ”を介して(β=-.155, p<.10),“ピアノ教師の教えがい”に影響を及ぼしていた(β=-.200,p<.05)。つまり,ピアノ教師の教えがいを高めるためには,生徒中心の指導を行い生徒の学習意欲を高めることが重要である,ということが明らかになった。また,“ピアノ教師の教授法の悩み”は,“ピアノ教師の教えがい”とは有意な関連がみられなかったが,“生徒中心型指導”(β=-.229,p<.01)と“ピアノ教師の年齢”(β=-.273, p<.01)からは負の影響を受けていた。つまり,ピアノ教師が生徒中心型の指導を行っており,年齢を経て経験を積んでいるほど,ピアノ教師の抱え??p ?p pFigure 1“ピアノ教師の教えがい”に対するパス解析(N=126)