心理学年報31号 page 26/54

心理学年報31号

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心理学年報31号

22明星大学心理学年報2013年第31号激呈示と反応入力にノートパソコン(パナソニック, CF-Y8),17インチ・カラー液晶ディスプレイ(三菱電機,RDT17135),外部スイッチ(Cedrus,RB-834),ICレコーダ(パナソニック,RR-US900),課題遂行中の実験参加者の脳血行動態の測定・記録に16チャンネル型NIRS装置(スペクトラテック,OEG-16)を使用した。手続き実験参加者は観察距離約60cmの位置から画面を観察した。各試行では,黒色画面の中央に灰色の凝視点(視角0.8°×0.8°)を1000ms呈示した後,刺激画面を700ms呈示した。実験参加者の課題は,画面の左右のいずれかにランダムに呈示された単語刺激(「左」または「右」)を口頭で読み上げつつ,単語刺激の色が赤色であれば左側,緑色であれば右側のボタンをできるだけ速く正確に押すことであった。加えて,スイッチボックスの左側にあるボタンは左手,右側にあるボタンは右手を使って押すよう教示した。1つの課題ブロックにつきこれを18試行おこない,混合条件については,非競合条件,低競合条件,高混合条件の各試行が6試行ずつランダムな順序で出現した。各課題ブロックの前後には30秒の安静時間をそれぞれ設け,個々の条件につき安静―課題―安静を1セッションとして3セッションずつ,計54試行ずつ実施した。4つの条件の実施順序は実験参加者間でランダムであった。各条件いずれについても,本試行に先立ち,6試行ずつの練習試行をおこなった。NIRSデータの測定実験参加者の前額部に近赤外分光の照射部と受光部が3cm間隔で交互に格子状に配置されたヘッドモジュールを装着し,全部で16チャンネルの同時計測をおこなった。なお,国際10-20法におけるFpzがヘッドモジュールの中央に位置した。サンプリングタイムは0.65秒で,測定データについては,5秒の移動平均処理をおこなった後,課題ブロック直前の5秒と,課題ブロック終了後に3秒の時間間隔を置いた後の5秒をベースラインとし,これらの値を元に課題ブロック中の血中ヘモグロビン濃度変化量のベースライン補正をおこなった。さらに,個々の実験参加者ごとに,各条件の3つの課題ブロックのヘモグロビン濃度変化量を加算平均した。結果行動データ実験参加者が刺激画面の呈示からその直後のブランク画面の終了まで(刺激画面の呈示から1700ms以内)に正しく反応できた場合を正反応としたときの各条件の平均誤反応率と平均反応時間をFigure5に示した。この図から,平均誤反応率と平均反応時間の両方において,混合条件のときに,他の3つの条件と比?して数値が大きく上昇し,また,平均反応時間に関しては,高競合条件の場合に非競合条件より長くなる傾向が認められる。平均誤反応率と平均反応時間の2つの指標について,課題の種類(非競合,低競合,高競合,混合)を実験参加者内要因とする1要因分散分析をそれぞれおこなったところ,平均誤反応率と平均反応時間のいずれについても課題の種類の主効果が有意となった(平均誤反応率:F(3,45)=12.78,p<.001,平均反応時間:F(3,45)=12.78, p<.001)。有意水準を0.05%に設定したうえでライアン法による多重比?をおこなった結果,平均誤反応率では,混合条件の平均誤反応率が他の3つの条件と比べて有意に高いこと,平均反応時間では,混合条件の平均反応時間が他の3つの条件に比べて有意に長く,高競合条件の平均反応時間が非競合条件より有意に長いことが示された。NIRSデータFigure6a及び6bは,全実験参加者の課題遂行中の平均oxy-Hb変化量をチャンネル別条件別にあらわしたものである。図に示したように,どのチャンネルも高競合条件や混合条件のときに非競合条件や低競合条件と比べてoxy-Hb変化量が全般に高くなる傾向が認められ,特に,こうした傾向は,右前額部のチャンネル6と中央部のチャンネル9,そFigure5実験2の各条件における平均誤反応率(左)と平均反応時間(右)。非競合条件の平均誤反応率は0%であった。