心理学年報31号 page 34/54

心理学年報31号

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心理学年報31号

30明星大学心理学年報2013年第31号および固定級)に通う発達障害児の保護者を対象に,保護者のストレスを調べる質問紙とConners3の2種類の検査を行い,保護者のストレスと子どもの行動特徴の関係を検証することを目的とした。方法参加者参加者は,公立小学校の特別支援学級(通級および固定級)に通う発達障害児の保護者を対象とした。情緒障害学級(通級)に通う児童の保護者向けの研修会で研究協力を募った結果,参加の意思を示した保護者6名(父親2名,母親4名)に正式に協力の依頼を行い,文書による同意を得た。以下,6名の参加者をそれぞれ保護者A~Fとして記述する。保護者AとBは父親,保護者C,D,E,Fは母親であった。個人情報保護のため,これ以上詳細な保護者のプロフィールの記述を避けた。質問紙1)Questionnaire on Resources and Stress(QRS)簡易版QRSは,稲浪・小椋・ロジャーズ・西(1994)が障害のある子どもを育てる親のストレスについて,多角的に測定することを目的に開発した尺度である。もともとは障害のある子どもの親を対象にして開発されているが,障害のない子どもの親との比?ができるように質問項目が工夫され,子どもの障害の有無にかかわらず親のストレスを測定できる尺度となっている。親の問題として「精神的苦痛」「悲観主義」「過保護?依存」「将来への不安」「社会的孤立」の5因子,家族の問題として「家族への負担」「経済問題」「家族の和合の欠如」の3因子,子どもの問題として「知的能力の制限」「身体能力の制限」「子どものケアーの必要」の3因子に基づいて質問が構成されている。本研究では,子どもの行動特性と関係する親のストレスを測定することが目的なので,親の問題の5因子に関わる質問25項目(各因子について5項目ずつ)だけを実施した。回答は,「はい」「いいえ」「どちらでもない」「あてはまらない」の4つの答えから1つを選択してもらった。配点は,「はい」(逆スケールの場合は「いいえ」)を2点,「どちらでもない」を1点,「いいえ」を0点,「あてはまらない」を欠損値とした。そのため,各因子の最高得点は10点となる。2)Conners 3Conners 3保護者用は,質問115項目から構成されており,過去1か月間の子どもの行動を検討して回答することが求められた。回答は,「0」(過去1ヶ月の間に全然当てはまらなかった,全く起こらなかった),「1」(過去1ヶ月の間にほんの少し当てはまった,ときどきそういうことが起こった),「2」(過去1ヶ月の間によく当てはまった,そういうことがしばしば起こった),「3」(過去1ヶ月の間にとてもよく当てはまった,そういうことがとてもしばしば起こった)の4つの答えから1つを選択してもらった。手続き保護者は,大学の相談室において,個別にストレスに関する質問紙QRS簡易版およびConners 3に回答した。分析方法QRS簡易版から得られた5つの尺度「精神的苦痛」「悲観主義」「過保護?依存」「将来への不安」「社会的孤立」の合計得点を保護者のストレス得点として算出した。そして,参加者6名において,Conners3によって得られた6種のT-スコア(IN[不注意]・HY[多動性/衝動性]・LP[学習の問題]・EF[実行機能]・AG[攻撃性]・PR[友人関係])と保護者のストレス得点の間で,ピアソンの積率相関性係数を算出した。結質問紙の結果をTable1,Conners3の結果をTable2に示した。保護者Aの保護者ストレス得点は苦悩が6,悲観が4,依存が3,不安が1,孤独が3で合計が17であり,Conners 3によるT-スコアは,INが58,HYが54,LPが42,EFが56,AGが73,PRがTable 1果保護者のストレス得点の結果参加者苦悩悲観依存不安孤独合計保護者A6431317保護者B5414317保護者C6214215保護者D6583123保護者E73410428保護者F5221212Table 2 Conners 3の各スケール?のT-スコア参加者IN HY LP EF AG PR保護者A585442567381保護者B707165589071保護者C484963506053保護者D707165589071保護者E798577818290保護者F834388634968?IN[不注意],HY[多動性/衝動性],LP[学習の問題],EF[実行機能],AG[攻撃性],PR[友人関係]