ブックタイトル明星大学 心理学年報 第32号

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明星大学 心理学年報 第32号

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明星大学 心理学年報 第32号

榎本・竹内:重度知的障害児へのビデオフィードバックを用いた行動支援21Figure 1 The setting of an experimental sceneイントレーナーはビデオで記録した直前の参加児の身体接触行動を提示した。標的行動の定義に該当する身体接触行動が生起した場面で動画を一時停止した。一時停止した動画を見せながらメイントレーナーは,「触っては……」と言語プロンプトを提示した。Aより「いけません」の発言が生起するまで,メイントレーナーはそのままの姿勢で待ち続けた。Aが「いけません」と発言したら,メイントレーナーも「触ってはいけません」と再び告げた。上記の手続きが達成できた後,Aは通常の機械利用型指導へ戻った。5.研究期間本研究はX年7月~X+1年1月まで実施された。各研究セッションは月1~2回の頻度で行われた。6.測定方法各研究セッションにおける標的行動のパフォーマンスは,療育セッションを記録したビデオ動画を基に測定された。療育セッションの中の機会利用型指導場面を標的行動の測定および分析対象とした。機械利用型指導場面において,標的行動の操作的定義と合致する行動が見られた場合に生起数1としてカウントし,セッション毎に生起数を合算した。結果本研究で扱った標的行動の推移をFigure 2に表した。Figure2は縦軸に標的行動(体触りの頻度)を,横軸にセッション数をとり,標的行動のパフォーマンスの推移を示している。標的行動の推移を第1セッションから概観すると,第1セッションから第3セッションまで,3回~8回ほどの標的行動の生起が観察された。特に第3セッションでは8回も生起しており,第2セッションと比?して2倍の頻度で標的行動を生起していた。ところが,ビデオフィードバック手続きを導入すると,第4セッションでは標的行動の生起は見られなくなった。ビデオフィードバック後の第5セッションでは標的行動が再度観察されたが,2回目のビデオフィードバック後の第6セッションでは再び標的行動は生起しなかった。そして,続く第7セッションから第9セッションまで,ビデオフィードバック手続きは導入されなかったにも関わらず,標的行動の生起は認められなかった。考察本研究では,重篤な知的障害を合わせ持つ自閉生障