ブックタイトル明星大学 心理学年報 第32号

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明星大学 心理学年報 第32号

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明星大学 心理学年報 第32号

茅野・小美野:デンショバトの線分刺激による多次元性刺激性制御27手続き弁別訓練いずれの被験体も操作体への反応が安定して生じた後,multVI 30秒EXTの弁別訓練を行った。白色光の背景刺激のもと,角度次元(右45°)・長さ次元(4cm)・本数次元(3本:線分間間隔は1cm)を持つ黒色の線分刺激をS+として用い,白色光の背景刺激のみで線分のない刺激をS-として用いた。S+呈示の際は,S+の中心が反応領域の中心となるように呈示した。1セッションあたりのコンポーネント数はS+,S-各20回とした。各コンポーネント時間は30秒とし,コンポーネントの切り替え時には5秒の暗間隔時間を挿入した。弁別完成基準は1セッション内で相対反応率(総反応数に対するS+への反応数の比)が80%を超えることとした。弁別完成基準が5セッション連続して到達した時,次のセッションで般化テストを行った。般化テスト般化テストは消去法により行った。角度次元のテスト刺激として,角度のみ異なる0°(垂直)・右22.5°・右67.5°・右90°(水平)の4種類にS+(右45°)とS-(線分のない白色光)を加えた合計6種類の刺激を用いた。同様にして,長さ次元のテスト刺激として,長さのみ異なる1cm・2.5cm・5.5cm・7cmの4種類にS+(4cm)とS-(線分のない白色光)を加えた合計6種類の刺激を用いた。本数次元のテスト刺激として,本数のみ異なる1本・2本・4本・5本の4種類にS+(3本)とS-(線分のない白色光)を加えた合計6種類の刺激を用いた。いずれの般化テストも,各テスト刺激を18回ずつランダムな順序で呈示した(総計108回)。各テスト刺激の呈示時間は30秒とし,テスト刺激の切り替え時には5秒の暗間隔時間を挿入した。1つの次元の般化テスト終了後,次の次元の般化テストを行うために弁別訓練の再訓練を行った。再訓練再訓練は,弁別訓練とほぼ同一の手続きであった。ただし,弁別完成基準が1セッションで到達した時,ただちに,次のセッションで次の般化テストを実施した。般化テストの実施順は,MP 9504・MP 0509では本数般化→角度般化→長さ般化の順であり,MP 1008は長さ般化→角度般化→本数般化の順であった。結果Figure1は,各般化テストにおける,各被験体の相対反応率による般化勾配を示したものである。Figure1の左端に示した角度次元の般化勾配は,3羽の被験体のいずれにおいても,S+を頂点とする左右対称で,勾配の傾きが急となる典型的な凸型となった。長さ次元の般化勾配は,3羽の被験体のいずれにおいても,明確にS+に頂点があるわけではないが,勾配の傾きが緩やかな凸型となった。本数次元の般化勾配は,被験体により異なり,MP 9504とMP 1008は長さ次元の般化勾配と類似して勾配の傾きが緩やかな凸型の般化勾配を示した。他方,MP 0509は,テスト刺激の本数が多くなるにつれ,相対反応率が増加する右上がりの般化勾配を示した。Figure2は,MP 1008における弁別訓練の最終セッションおよび各次元の般化テストの反応位置分布を示したものである。弁別訓練のS+への反応位置分布は,角度次元,長さ次元,および本数次元のいずれにおいても,線分刺激Figure 1.弁別訓練後の各般化勾配(左から,角度般化,長さ般化,本数般化)