ブックタイトル明星大学 心理学年報 第32号

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明星大学 心理学年報 第32号

42明星大学心理学年報2014年第32号Table. 3年代ごとの内容の特徴年代(人数:割合)20~30歳代(4名:16.0%)内容の特徴・バラ配布や食事会への抵抗感・不満が多く記述されていた。・バラに関する肯定的な感想とともに,感謝の気持が記述されるものもあった。例:・会場に行った際,「中にどうぞ」だけではなく,食事や遊びの説明をきちんと欲しかったです。あと,ピザも食べたかったです。(すみません,ずうずうしくて[汗])。あれは学生さん用だったのですか?学生さん(女性)に子供がとってもやさしくして頂きとっても楽しかったといっていました。大人ものんびり過ごせて,お腹いっぱいでとても良い時間でした。・心のこもったバラを有り難うございます。花を見ると,一瞬華やぎ,日常を忘れるような気がします。田野畑村の人たちに必要なことは,一瞬でも非日常の気分を味わうことではないかと,最近感じています。日々の生活の中で様々な出来事があり,乗り越えていくためにも美しいものを見て,感動することも大切だと思います。施設に入所している高齢者にも,もっと感動する瞬間が訪れることを願っています。来年は高齢者のための作戦も期待しております。50~60歳代(13名:52.0%)・バラに関する肯定的な感想とともに,感謝の気持が記述されていた。・「来年も」や「忘れない」など,継続的な支援を期待する言葉が見られた。・何らかの病気や喪失体験など,抱え続けている問題の記述が見られた。例:・とてもうれしかったです。暑い中ほんとうにありがとうございました。来年も来てくださるなら,来年は仮設住宅を脱出していて,新しい家で受け取りたいです。仕事だったので食事会に行けず,残念です。・きれいなバラをありがとうございます。船,漁具,作業場等を失いましたが,家は高台にあったため,残りました。まだまだ大変な事が多いですが,前向きに頑張っていきたいと思っています。学生の皆さんの想いにとても感謝しています。津波で四十年来の大切な友人を失いました。毎日海を見て,いつまでも見守っていてね。と声をかけています。・一輪のバラで家の中が明るくなりました。バラの力を信じて頑張ります。これからも田野畑村を応援して下さい。70~80歳代(5名:20.0%)・バラに関する肯定的な感想とともに,感謝の気持が記述されていた。・訪問に対する肯定的な感想とともに,感謝の気持が記述されていた。例:・キレイなバラの花とメッセージをお届けしていただきまして,ありがとうございました。本当に訪問(留守)していただき嬉しく思っております。感謝感激です。・今年も美しいバラの花,ありがとうございました。テーブルの真ん中で家族みんなの心を癒やしてくれています。皆さんの心暖まるイベントに厚く厚く感謝申し上げます。90歳代(2名:8.0%)・バラに関する肯定的な感想とともに,感謝の気持が記述されていた。・食事会に参加できなかったことに対する「お詫び」が記述されていた。・何らかの病気や喪失体験など,抱え続けている問題の記述が見られた。例:・やさしいバラをありがとうございました。足不自由のため,講演会に出席できず残念です。ご活躍をお祈りします。Table. 4年代バラ配布や食事会に関する不満や抵抗感自由記述内容のカテゴリー分析:郵送式調査の自由記述の内容に対し計量テキスト分析を行い,記述内容のカテゴリー化を行った。内容20歳代バラのトゲへの配慮(子供が持つとトゲが刺さる危険)30歳代30歳代50歳代バラ配布中の学生の態度(遊び半分で活動している者がいた)食事会活動中の配慮不足(飲食物のサーブに配慮がなかった)集団での活動への抵抗感(集団で学生が移動していることへの抵抗感)年代ごとの特徴を明らかにするため,回答者の年代を表す名義変数を作成し,頻出語の対応分析を行った。図は最初の2つの成分による同時布置である(Figure.1)。これらの成分の寄与率は,成分1が22.55%,成分2が18.88%であり,累積寄与率は41.43%であった。結果,50~80歳代は比?的同一のまとまりをもっており,特に50歳代と60歳代が中心部に位置していた。50歳代の周辺に付置する抽出された頻出語には「する」「食事」「やさしい」「頑張る」「大変」「生活」「気持ち」があり,前向きな行動への意識や活動によって得られた心理的余裕などがうかがえた。70歳代の周辺に付置する抽出された頻出語には,「感謝」「有り難い」「これから」「すばらしい」「本当に」があり,活動に対する感謝の気持ちが強くうかがえた。一方で,20歳代・30歳代・80歳代・90歳代は,周辺部に位置した。このことは,20~30歳代,80~90歳代の支援ニーズと50~60歳代のもつ支援ニーズに違いがあることをうかがわせた。郵送式調査の自由記述の内容に,共通する意味内容がどのように含まれているかを分析するため,自由記述の動詞と名詞を抽出し,共起分析を行った(Figure.2)。その結果,支援に対するカテゴリーとして,1バラ(花)や食事は「厚意」として感謝の対象となっていること,2学生の訪問にエンパワメントされたこと,3講演や学生の関わりを労う気持ちなどとともに,田野畑村にある人々の想いのカテゴリーとして,4問題を抱え続けることの苦しさをもつ「被災者」や5関係の